【店産店消】新たな植物工場のかたち【西友】

店産店消

植物工場と流通形態が新たなステージに入りました。

消費者としては価格の安定は嬉しいです。

相場の安定と輸送費の削減は青果業界の解決必須課題です。

 

西友の野菜、店内とれたて、植物工場を導入、埼玉に第1弾。新鮮レタス安定供給。

 

日経MJ-20200225(記事全文)

西友は店内に植物工場を設置し、栽培した青果を自社で販売する「店産店消」の取り組みを始める。まずは埼玉県の店舗に工場を設置し、レタスを生産する。天候や災害に左右されない安定した青果の供給や鮮度の向上を図り、消費者にアピール。店舗スペースの有効活用にも役立てる。今後、工場で栽培する野菜の追加や他の店舗への導入も検討していく考えだ。
 埼玉県ふじみ野市の「上福岡店」3階の約150平方メートルの区画に、植物工場の研究開発やコンサルティングを手掛けるプランツラボラトリー(東京・港)の植物工場システム「PUTFARM(プットファーム)」を導入する。
 プットファームはプランツラボラトリーが東京大学と共同開発したシステム。センサーや機器を最小限に抑えており、導入コストが一般的な植物工場の半分~3分の1程度で済む。光や温度などの環境を制御して効率的な生育を促すため、消費する液体肥料や水も少なくランニングコストも抑えられるという。
 植物工場内で袋詰めなどの製品化作業まで完了できる。まずは半分ほどのスペースで1日当たり最大240株のレタスを生産する。種をまいてから35日で収穫可能で、収穫した棚を手動で移動させて常に生育状況順に並べられる。1日当たり従業員1人が7・5時間働けば運営できる作業量を想定している。
 栽培したレタスは26日から「グリーンリーフ」の商品名で、上福岡店と近隣4店舗で1株税別137円で販売する。植物工場は郊外で大型のものが一般的で、収穫された青果に設備や輸送費が上乗せされる場合が多い。店内栽培では設備投資やランニングコスト、輸送費を抑えられるため、現在西友が扱う工場栽培のグリーンリーフよりも3割ほど安く販売できるという。今後残りのスペースで他の青果の栽培にも取り組む計画だ。
 一般に流通する露地栽培の青果は天候や災害の影響を受けやすく、供給量や価格が不安定なのが欠点だ。西友は植物工場の設置で安定した供給やすぐに売り場に並べられることによる鮮度の向上、無農薬栽培の実現といったメリットを見込む。
 近年は「虫の付着の心配もないため、工場栽培の野菜を好んで選ぶ消費者も増えている」(プランツラボラトリーの藤田真美子取締役)という。店頭では店頭販促(POP)などを通して店内の工場で栽培した点を積極的にアピールする。
 西友は国内333店舗のうち、郊外を中心に衣食住の商品を幅広くそろえた大型店を約100店抱える。植物工場は安定した収入が見込めて売り場スペースの有効活用にもつながるとして、今後他店舗への設置も検討を進める。